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日本史論述の書き方 |
1、論述問題の書き方〜基礎〜
例題1 2002年 南山大学 人文(キリスト教/人類文化) 経済A
(一) つぎの文を読み,後の設問(1)〜(5)に答えなさい。
律令の徴兵規定から考えれば,日本の古代国家は500〜600万人程度の人口をもって兵力20万人にも及ぶ大軍隊を建設しようとしたことになる。だが,兵士は A や雑徭が免除されるので,兵士を増やせばそれだけ政府は減収を覚悟しなければならない。無理をしても大兵力を保持しようとしたのは,新羅に朝貢を強要し,そうさせることによって,みずからを中華帝国と位置づけようとした律令国家日本の意図があったと思われる。
8世紀には兵力の拡大・縮小が交互におこなわれ,皇親政権下では軍縮による増収策aが,藤原氏が主導する政権では兵力拡大策が,選択されることが多かった。律令整備期を主導した藤原 B が軍拡を実行したのは当然だが, C との同盟により新羅を牽制しようとして軍拡をはかったのは B の子たちであり,また, C との共同作戦を計画して侵攻準備に着手したのも B の孫であった。
しかし,792年,兵士制は一部を除いて廃止され, D の制へと転換した。対外戦争を考えない「平安」な時代が始まったのである。
〔設 問〕
(1) 空欄 A に入る語句を漢字1字で答えなさい。
(2) 下線部aについて,政府が増収を背景に国分寺建立や恭仁京遷都を決定した時,首席であった大臣は誰か,漢字で答えなさい。
(3) 空欄 B に入る人名を漢字で答えなさい。
(4) 空欄 C に入る国名を漢字2字で答えなさい。
(5) 空欄 D に入る語句を漢字2字で答えなさい。
(二) つぎの史料を読み,後の設問(6)〜(9)に答えなさい。
注:カッコ内の漢字の読み方は伊藤が記入したもので、問題用紙にはありません。
A 微爾列謨(ウィルレム)第二世,謹(つつしみ)て江戸の政庁にましまして,徳位最も高く,威武隆盛なる,大日本国君殿下aに書を奉じて微衷を表す。
@ 近来英吉利(イギリス)国王より支那国帝に対し,兵を出して烈(はげし)く戦争せし本末は,我国の舶(ふね),毎年長崎に至りて呈する風説書にて既に知り給ふべし。威武盛(さか)りなる支那国帝も久(ひさし)く戦ひて利あらず,欧羅巴(ヨーロッパ)洲の兵学に長ぜるに辟易し,終(つい)に英吉利国と和親を約せり。
A 謹て古今の時勢を通考するに,天下の民は速(すみやか)に相親(あいしたし)むものにして,其(その)勢ひは人力のよく防ぐ所にあらず。 B を創製せしよりこのかた,各国相距(へだた)ること遠きも猶(なお)近きに異ならず。
B 貴国歴代の法に異国人と交を結ぶ事を厳禁し給ひしは,欧羅巴洲にて遍(あまね)く知る所なり。これ殿下に丁寧に忠告する所なり。今貴国の幸福なる地をして兵乱の為に荒廃せざらしめんと欲せば,異国人を厳禁する法をめ給ふべし。
(史料は,一部省略したり,書き改めたところもある)
〔設 問〕
(6) この史料は,1844年に,ある国の元首が江戸幕府に出した親書を長崎通事が「和解」(翻訳)したものの抜粋である。空欄 A には,この手紙の差出人の国名と地位が書かれている。それを答えなさい。
(7) 下線部aは,誰のことか,その人の姓名を漢字で答えなさい。
(8) 空欄 B に入る語句は,この時期に登場した海上交通機関の一つである。それを漢字3文字で答えなさい。
(9) この史料が@とBで伝えようとしていることを50字程度で説明しなさい(句読点も1字に数える)。
解答 ここまでと言うところまでをなぞってください。
(1) 庸 (2) 橘諸兄 (3) 不比等 (4) 渤海
(5) 健児 (6) オランダ国王(7) 徳川家慶 (8) 蒸気船
ここまで
上の例題では、(1)〜(8)が、受験生が個々に持っている知識を試す問題であり、(9)が受験生が個々に持っている知識を踏まえて、それを論理的に説明出来るのかを試す問題というようになります。確かに、センター試験をはじめとした「客観式問題」は私大をはじめ各大学で採用されている形式ですから、これを見逃す手はありません。これはある程度の暗記で対応できます。
しかし、論述問題ですと逆に暗記しているものが、教科書の記述が邪魔になってしまう事があります。暗記は重要ですが、論述問題は「時代の流れの理解」こそが重要なんです。
(9)を実際に解答してみましょう
今まで、「ばっちり書けた」と思った解答がバツだったりした事ありませんか?ここで鉄則です。
ちなみに(9)の解答は、
アヘン戦争で清国がイギリスに敗北したことと,鎖国を堅持する幕府に対して鎖国政策の転換を促していること。(ここまでなぞる)
となります。
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鉄則1 論述問題の大前提 |
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1 問題で要求されている事項・事象は全て解答すること。 |
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2 問題で要求されていない事項・事象は全て解答してはならない。 |
論述問題の特色は理解できましたか?それでは実際の書き方についてお話を進めていきたいと思います。論述問題は原稿用紙風の解答用紙(欄)を用いるのが普通で、大学によっては普通のノートのように罫線のみが入っている解答用紙(欄)の場合もあります。いずれにしても一般的な技術は基本的には変わりませんのでここでしっかり覚えましょう。
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鉄則2 |
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@数字の書き方=645年も1192年も全て2マスで!数字は全て1マス2文字! |
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例 |
11 |
92 |
年 |
に |
、 |
64 |
5 |
年 |
に |
←と言うように解答用紙に記入する |
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A年代=指示が無い限り特に書く必要なし |
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B文頭=1マスあける必要はなし。もちろん段落分けも必要なし。 |
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C句読点=必ず使用すること。段落分けが使えない分、句読点の重要性はかなり高いです。 |
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D文体=「〜である」調で書きましょう。「〜と思う」は絶対使わないこと。論がぼやけます。 |
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E〜字以内、〜字程度、〜字で述べよはそれぞれ目指す文字数が異なるぞ! |
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〜字以内=85%〜100%を目指す。字数オーバー厳禁。 |
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〜字程度=±10字程度を目標に書く。 |
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○○字で=100%字数を満たすこと。字数オーバー厳禁。 |
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罫線のみの解答欄の場合=1行あたり30〜35文字を記入する。 |
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※当然ながら、基準を満たしていない解答は採点対象外になる |
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F誤字・脱字=かなり最悪。特に歴史用語の書き間違えは×。 |
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G時代年代の取り違え=当たり前のように×となる。 |
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H書き終わったら、必ず読み返すこと。あくまでも採点官に読んで頂くという気持ちで書くこと。 |
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(以上大学の採点担当教授に聞きました。) |
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☆ 論述を書く人のための教科書の読み方 @ 各時代の中でどのように事件が起こったのか、なぜその法令が実施されたのかを因果関係に注意し、時代の流れに即して、年号・年表に頼らず、読んでいく。 A 用語集を併用し、わからない用語があったら即座に調べる。 B 各時代、各事件、各法令の原因・結果・因果関係・関係人物をノートにまとめよう。 |
2、問題別対処法について
1 「(a)の原因(結果)について述べよ。」という問題について(2002年9月11日UP)
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考え方チャート@ 問われている事項(a) ↓
↑(b) (c)↑ |
1. 原因を述べる場合は、問われている事項の過去を考察することになるので、問われている事項の時間(a)から過去(b)までの期間で考察する。
2. 逆に結果を述べる場合には、問われている事項の未来を考察することになるので、ある地点(a)から未来(c)までの期間を考察する。
☆原因・結果と言うものは、当たり前の話ですが、原因があるからこその結果である事を今一度確認しましょう。
例題2
明治維新期には士族反乱があいついだ。元参議が中心となって起こした例を三つ挙げ、こうした士族反乱が起こった原因と、それが与えた影響について200字程度で述べなさい。(1998大阪大)
☆ヒント☆
l 問われている事項は士族の反乱である。
l 原因として考察する期間は、明治維新期であり、その期間の士族に対する政策をまとめる。
(例)廃刀令・秩禄処分など…
l 影響は士族の反乱による結果と考え、自由民権運動に言及する。
解答 ここまでと言うところまでをなぞってください
佐賀の乱・萩の乱・西南戦争。徴兵制や秩禄処分・廃刀令などの改革によって、士族は旧来の特権を失った。政府の要職が薩摩・長州など一部の藩出身者で独占されたため、新政府樹立に功をあげた士族の不満も大きかった。征韓論争による政府の分裂によりその不満は反乱へと発展したが、政府軍により鎮圧された。その結果、中央集権化が実現するとともに、武力による政府転覆が不可能との認識が強まり、反政府運動は言論中心の自由民権運動へ集中していった。(211字) ここまで